共に創る建築の為に

沖縄建設新聞1月 掲載

「本を読め、人と会え、そして旅をしろ」私の人生の座右の銘のひとつである。特に建築家を志す者にとって旅を通じて素晴らしい建築に触れることは大切である。
30代前半から、年に一度は国外に出ようと決め、フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アールトの建築巡礼からはじまり、ル・コルビィジェ、ピーター・ズントー、レンゾ・ピアノ、ダニエルリベスキンド、フォスター等々。世界で活躍する建築に触れてきた。しかし、今回は個人的な旅についてではなく、10年程前から年に1,2回のペースで行っている弊社主催の工事関係者との建築研修について書きたいと思う。

建築の世界には通常ふたつの異なった仕事の場所が存在する。一つはアトリエであり、もう一つが現場である。アトリエではパソコンに向かいプランや図面を書く、自分との闘い。現場では、実際に建物が造られていく中で多くの対話や議論を重ねなければならない。いくら建築家が素晴らしい魅力的な空間を設計、提案をしたくとも施工する側の能力やヤル気がなければやはりいい建築は造れない。施工する側にも建築の魅力や建築が与える可能性や影響力を知ってもらい、設計者とスクラムを組んでクライアントの望む素晴らしい建築を創ることを目的として施工業者との研修旅行を行っている。

昨年の2011年は東京近郊(11月9日~11日)と大阪兵庫 (11月17日~19日)に分かれスタッフやスタッフOBも合わせ各々20名前後総勢40名の研修旅行になった。

東京チーム初日は、根津美術館、国立美術館、そして表参道に建ち並ぶ国内外を代表するスター建築家の商業建築を終日かけてまわった。2日目はレンタカーで東京を離れ、プリツゥカー賞建築家の妹島和世&西沢作品で鬼石多目的ホール、千住博美術館を見学。その日の同行案内人は妹島事務所OBの細矢仁氏(金沢21世紀美術館担当、現在細矢仁建築設計事務所主宰)に依頼し、鉄骨や硝子の納まりなど業者の方からも沢山の質問が投げかけられ非常に有意義な一日となった。最終日は60・70年代の建築群丹下健三氏の東京カテドラル教会などを見学。

大阪兵庫チームは、関西といえばやはり安藤建築。アサヒビール大山埼美術館、淡路夢舞台、真言宗本寺水御堂等々を巡り、国内を代表する建築家、設計工房casa坂本昭氏の自社設計のアトリエを訪問。坂本氏自ら建物を親切丁寧に案内して頂き質問も受けて下さった。


スタッフはもちろんの事、施工業者もいい建築に触れることによって設計者が何に触発されてこの建築を発想したのかを感じ、また空間の質はその場に身を置くことでしか知る術がないということを体感してもらった。共に成長してゆける環境づくりを大切にこれからも旅を続けていきたい。

2012.1. 門口 安則

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