寄稿:地域性への眼差し

住宅特集 12月 掲載


 私が設計の仕事を始めた80年代。沖縄の風景は偏った建築群によって占められていた。歴史や地域性といった風土的なことにとらわれて、赤瓦や異型ブロックといった素材、存在形式の表現が同じ方向性を帯び、安易にパターン化したものであった。本誌でも「沖縄特集」と銘打った記事を紹介し、その影響も大きかったように思う。しかしそれは決して沖縄の人びとの想いとは違うように思えた。そこで地元の人間だからこそできる、これまでの沖縄を意識するのではなく、これからの沖縄を意識しようと考え、時代にそぐわなくなった形式をあえて否定することから始めようとした。
 時代や地域を超えて愛されるもの、無駄を削ぎ落とした機能美を追求した建築こそが目指すもので、あえてトラディショナル(伝統や文化を重んじること)を否定し、アバンギャルド(沖縄の既成概念を取り払ったもの)を求めようとした。
光や風を呼び込み、水をとらえた建築。これまでの沖縄では、いかに強い陽射しを遮るかをテーマとしてきたが、ブリーズ・ソレイユや庇で直射日光を適切に制御させ、居住性を剋することなく積極的にスカイライトを用い、室内に「光」を取り込む。「風」は卓越風を考慮しながらプランに反映させ、そして「水」は五感に訴え豊かな生活を維持するための装置として機能させる。一見するとここが沖縄なのか、と錯覚するような多様性に満ちた建築を創っていきたいと考えている。

2012.12. 門口 安則

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