創造的視覚化 creative visualization

 今この世界の美しさは、ひとえに先人たちが、未来の幸福を夢見て努力をし、生きてきたから存在する。では、これからの世界が永遠に良い環境であるために、我々がすべき事とは何であろうか…。20世紀社会はモノに重点を置いた社会であったように思う。デザイン、空間性、そして、それ以上に何が必要で、何が求められているのか。我々が職能を通してすべき事は何か。

 私は、空間(建築)が人を変えていくと固く信じている。

 建築は街を変え、人々を変え、社会をも変えていく。一つひとつのすばらしい建築が人の心や感性に対して直接的に訴えかけ、人々に生きる喜びと勇気を与え、幸福な生活環境を約束していくのだと考えている。しかし近年の建築は、形態の美学をただただ崇拝するばかりで、個々の地形、経済性、文化など、過去から未来へのコンテクストをおろそかにしがちである。建築は一過性の儚い芸術ではなく、創られたままの形で何年も何十年も、事によると何百年もそこに存在し、生き続けていくものである。そして人間が幸福を目指して行う本質的な探求行為を表現する方法のひとつでなければならない。
 私は建築という方法を使って自分の夢を実現したいと思う。そして、建築を通して人々の幸福に寄与していき、社会をもリードしていきたい、と考えている。私にとってより良く暮らすというのは、物質的な満足よりも、精神的な安らぎを得ることである。我々はできることから始めなくてはならない。クリエイティブ・ヴィジュアライゼーション*を通して、クライアントの夢と自分の夢、ひいては、社会の夢を実現させていく。そんな想いを今回の本のタイトルに託した。

 人間と人間、人間と自然、人間と環境、その三つの関係に<人間と時代>を加えて建築を考えていく。自らと<時代>との関係を思考し、新しい風景(建築)を創造していかなければならないと考えている。自身の探求している建築が社会といかなる関わりがあるか、この時代において、どのような責務を建築家として果たせばいいのか。そのような想いを抱きながら建築を創造し、向き合っていきたい。それが人間としての尊厳と誇りを持つことにつながるのではないかと考えている。

※creative visualization (クリエイティブ・ヴィジュアライゼーション)
=創造的視覚化。創造的エネルギー、イメージを使って自分の夢を実現させる手法を指している。

2006年6月 主宰 門口安則

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