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これまで、介護が常時必要な高齢者は、在宅介護には限界があり、施設入所というのが一般的であった。
しかし、生涯自宅での生活を望むという願望は人としてごく当たり前のことである。そこで、近年登場し、新たに制度化されたのが小規模多機能型居宅介護である。
小規模多機能型居宅介護とは、「施設の在宅」版といわれている。居室が自宅や集合住宅に変わっただけでサービスは拠点から提供されるからである。
デイサービス、デイケアなど「通い」を中心として、介護を必要とする利用者一人一人の様態やニーズに応じて、随時ホームヘルパーの「訪問」や
ショートステイといった「泊まり」を組み合わせて多様なサービスを一体的・連続的に提供することで、在宅での生活継続を支援する。
今回、その制度のサービスの拠点を設計することとなり、沖縄では極少ない新築の施設となった。
コンセプト
光の移ろいや自然を感じ五感に訴えられる空間を演出し、日常忘れかけていた「自然」「風景」「時」を取り戻した。利用する高齢者が自立した生活が営まれ、
ここで働く人たちも輝きを放ち、誇りをもってこれからの高齢化社会をリードしていく施設であることを願うものである。
敷地、平面計画上のポイント
敷地は県道から奥に位置し、周囲は雑木林が生い茂り、尚且つ高低差のある変化に富んだ地形を持つ場所にある。
東側の道路から敷地内へ進入し、緑や花に囲まれた遊歩道を辿り、メインロビーへとアプローチしていく。
建物は、基本的には平屋であるが、擁壁を構築するのではなく、敷地の高低差をそのまま生かした一部ピロティー形式を取り入れた構成である。 円形型の部分にはエントランスホール/居間/食堂等のパブリックスペースを配し、内廊下/外廊下のある長方形の部分には個室/浴室/便所等のプライベートスペースを配した。
周辺に広がる森林自然を破壊することを極力抑えながら、まるで建物がずっと以前からあたかもこの場所に存在していたかのように、建物全体を自然の中に埋没させる配置にしている。
憩いの広場、ステージ
憩いの広場は、施設を利用する人やその家族、地域の人々との交流の場となる。 少し下った場所にある半円形のステージは、多目的なスペースとして各イベント時に利用できる。またステージまでのスロープはリハビリの為の散歩コースとなり、横にはベンチを設置してある。ステージでのイベント時にはこのベンチに腰を下ろし、スロープ全体が観覧席に変わることとなる。